数年で達人までイケる理由とは!?
武道の達人と言われる人たちは、大体4~5年でその道をマスターすると言われています。
達人といえば、”老人”というイメージを持っている方が多いと思います。
しかし、実際のところ”伝統的な達人”たちは、遅くても20代後半くらいまでには、既に達人になる素地ができています。
実は、「一般道場生」と「後継者」は学ぶ体系が違います。
具体的にどれくらい違うのか、柔道を例にして説明します。
柔道の「技」には、一本背負い、内股、背負い投げなどがありますが、道場へ入るとまず受け身から習い、自由に技をかけ合う”乱取り”などを行って、技を磨いていきます。
こうして一般道場生は、ひたすら「技の練習」をします。
しかし後継者候補には、早々に「術を教える」のだそうです。
最初は一般道場生として入ってきても、見込みのある人達というのは、技の練習を見ていると分かるのだそうです。
技の習得が早く、どんどん上達していく。
上達が早いというのには理由があります。
そういう人は、技の練習をする中で、ちょっとしたコツに気付くのです。
それが「術」の始まりです。
達人というのは、そういった「術」を総合的・体系的に身につけた人です。
力ずくで投げ飛ばそうと思っても、そう簡単にはできません。
しかし相手が押してきた力を利用したり、自分の体重を左から右に瞬時に移動させたりすると、相手のバランスが崩れるタイミングがあります。
そのタイミングで技をかけると、あっさり決まります。
柔道における「術」は、”相手が崩れた瞬間に技をかける”という「崩し」にあります。
後継者候補の人達は、達人たちからこれを教え込まれます。
相手の体勢が崩れた瞬間を狙えば、技をかけなくても、そっと押すだけでも倒れてしまうものです。
「膝カックン」をやったことは誰でもあると思います。
まさにこれは、重心がズレる、体勢が崩れる瞬間を作る、狙う、ということなのです。
これは全ての武道に通じるものです。
一般道場生は「技」を何度も何度も練習していって、ようやく「術」を身につけていきます。
強くなるまでに数十年はかかります。
しかし後継者は、まず「術」から学んで「技」を磨きます。
なので数年で達人になることができるのです。
技術の話を別の例で考えてみます。
フィギュアスケートの四回転ジャンプや100メートル走のタイムで10秒を切るということが、少し前まではクリアできる人が居なかったのに、今はクリアできています。
これは不思議なことに、1人ができるようになると、クリアできる人がその後に次々と出てきます。
これも「技術」です。
「できるんだ!」ということが分かると、既に「技」を持つ彼らは、できる人を徹底的に研究して「術」を導き出し(コーチなどの指導者の力も借り)、普通の人にとっては”あり得ない目標”のクリアへと向かうことができるのです。
「できると思っていたら、いつかできる」「できないと思っていたら、そもそもできない」ということを説明する時、「卵の話」をします。
「この卵を立てて下さい」
と言われたらどうしますか?
「コロンブスの卵」という有名な逸話を知っている人は、殻の一部を少しだけ割って立てることを思いつくかもしれません。
ですが、「割ってはいけません」と言われたらどうしますか?
実は、微調整すれば卵は立ちます。
しかし、それを知らなければ卵が立つとは思わないのではないでしょうか。
何度かトライしてできなければ、「やっぱり無理」と諦めてしまうと思います。
しかし、卵が立つことを知っている人は、何回でも、立つまでトライできます。
誰かが成功すると、できる人が続出するのは、それが理由です。
成功する人を見るまでは、「技」を磨くことはしているけれど、「術に到達していなかった」「術があると知らなかった」状況だったのだと思います。
そこで成功者が現れると、「術」に向き合うことになります。
「技」だけなら、普通の人。
その先へ行きたいと思うなら、「術」を知り、体得することが重要です。