合理的決断方法とは!?
投資において、決断する力は不可欠です。
例えば、日本株に投資する投資家の場合、約3600社の上場企業の中からどの会社の株をどういう比率で持つかを決めます。
10社を選んだとすると、残りの3590社は捨てることになります。
無限の可能性の中から1つの選択肢に絞り、残りの可能性を捨てる、これが決断するということです。
「自分には決断力が無い」という人もいると思います。
そんな人は、大事なことも他人に決めてもらっているかもしれません。
つまり、決断しない決断をして責任やリスクを回避しているのです。
リスクが怖いから投資しないという決断は、リターンを得る機会を捨てることと同じです。
新しいものにチャレンジしないという決断は、成長を諦めることと同じです。
「何を捨てるのか」「何を手放すことになるのか」をセットで考える必要があります。
捨てられない人は、決断できない人です。
投資家は、「あの会社も、この会社もいい」と迷っているうちは、投資することができません。
自分の時間やお金を投じる時も、あれこれやりたくて迷っているうちは、何もしていない状態です。
使い道を先送りするのは、お金をタンス預金にして死んだ状態にしているのと同じです。
まずは、時間やお金を「何に使わないか」、つまり、「何を捨てるか」を考えるのが近道だと思います。
それでは、どうすれば捨てることができるのでしょうか。
多くの人は、「4つの決断の軸」を無意識に使いこなしています。
それが、「損得」「善悪」「美醜」「好き嫌い」の軸です。
得する方を選ぶ、正しい方を選ぶ、美しい方を選ぶ、好きな方を選ぶ。
どの軸を優先するかは、その人の哲学や生き方、スタイルの問題も絡んでくるので、どれが間違いということはありません。
他人に決めてもらうことも、それが悪いことだとは言いません。
しかし、ぜひ再認識してほしい軸は、「好き嫌い」の軸です。
投資家というのは、「損得」で投資先を選んでいるイメージがあるかもしれません。
しかし実際には、「嫌いな会社には投資しない」「自分の考えに合わない会社には投資しない」と好き嫌いで決めるのです。
「好き嫌いで選ぶなんて」と思う人もいるかもしれませんが、私たちの消費行動は「好き嫌い」で決まることがほとんどです。
家を選ぶ時も、スマホを買い換える時も、レストランで食事をする時も、他の人の判断を参考にすることはあっても、最終的には自分の好き嫌いで選んでいることが多いのです。
一方で、「好き嫌いで判断してはいけない」と思い込んでいることもあるはずです。
好き嫌いで選ぶことで、もし、良い結果が得られたら、それは小さな「成功体験」となります。
小さな成功体験は、積み重なることで、その人独自のセンスとなります。
今、デザインや美意識という概念がビジネス界で再評価されてきています。
これは、論理のように言葉で説明できる領域を超えた判断軸を個人が持った方が良いということだと思います。
損得の合理性は、突き詰めると人工知能(AI)と同じ思考になります。
しかし、人間は損得だけでは拭い去れない感情があります。
つまり、「もっと感覚的に好き嫌いで判断しても良い」という時代の流れがあるのだと思います。
「好き嫌い」は、逆に合理的で高度な決断軸なのです。